有事にどう動き、世間に何を公表するかーSOMPOリスクマネジメントの“ワンストップ型”危機管理体制構築支援

2026年3月27日

|GRCコンサルティング部
危機管理・コンプライアンスグループ
主任コンサルタント 横川 夏菜
|クライシスマネジメントコンサルティング部
フードチェーンリスクグループ
主任コンサルタント 渡邉 幹雄
|クライシスマネジメントコンサルティング部
クライシスコミュニケーショングループ
主任コンサルタント 鶴 信吾

有事にどう動き、世間に何を公表するかーSOMPOリスクマネジメントの“ワンストップ型”危機管理体制構築支援

有事が発生したとき、組織は多くの判断を迫られます。
「対策本部を立ち上げるべきか」「被害者対応はどうすればいいか」「対外的に公表したほうがいいか」

そして社内でこんな意見も出ます。
「騒ぐほどの事案じゃないだろう」「公表したらかえって混乱を招くのでは」
こうした迷いの間にも、事態は悪化していきます。

本コラムでは、「有事にどう動き、世間に何を公表するか」という企業担当者が直面しやすい悩みに対し、SOMPOリスクマネジメントが提供する“ワンストップ型”危機管理体制構築支援の考え方と、実務の現場で感じている課題について、各部門の専門コンサルタントによる意見交換の概要を紹介します。

参加メンバー

コンサルタント紹介ページ

鶴 信吾

コンサルタント紹介ページ

横川 夏菜

コンサルタント紹介ページ

渡邉 幹雄

1.はじめに

横川(危機管理:横川)
近年は、企業が公表する前に第三者によって情報が拡散するケースも珍しくないですよね。結果として、企業に隠蔽の意図がなくても「不誠実だ」「後出しで対応が遅い」と批判されてしまうことがあります。特に、消費者の健康や生命に直結する事案の場合は、「正確性」に加えて「迅速性」も強く求められますが、迅速な判断は場当たり的に行えるものではなく、平時からの備えが不可欠です。

鶴(広報:鶴)
危機発生時は、タイトルにもある「公表」対応等クライシスマネジメントの領域が注目されがちですが、企業対応としては危機の未然防止も含めた広義のリスクマネジメントという視点で捉える必要がありますね。広義のリスクマネジメントで議論される「リスク」とは、組織に対して好ましい影響を与える可能性のあるポジティブリスクが含まれる場合もありますが、この意見交換の場では、リスクを「負の影響を及ぼす、またはその可能性のあるもの」と定義づけて話し合いたいと思います。

渡邊(食品:渡邉)

そうですね。また、広義のリスクマネジメントには「リスクマネジメント」「クライシスマネジメント」「BCP」が含まれます。企業担当者からは「これらは何が違うのか」という質問もよくいただきます。

2.「リスクマネジメント」「クライシスマネジメント」「BCP」の違い

横川(危機管理:横川)

リスクマネジメントは、平時に「起こり得るリスク」を洗い出し、評価し、低減・管理していく考え方です。不祥事、品質事故、自然災害等といったリスクの芽を摘めるか、いかに小さくするか、という視点ですね。
一方、クライシスマネジメントは、「危機は起きるもの」という前提のもと、「起きてしまった危機」にどう対応し、影響を最小化するか。危機発生時の初動対応、対策本部での意思決定、社内外への対応等の実践的な取り組みです。
そしてBCP(事業継続計画)は、危機が起きても事業を止めない、あるいは止まっても早期に再開するための計画です。サプライチェーンの復旧や代替手段を含め、事業継続・早期復旧の道筋を考えます。自然災害やサイバー攻撃等の外部要因、かつ、ヒトやモノ、システム等のリソースが制限された危機事象で検討されることが多いです。

図1 リスクマネジメント・危機管理・BCPの違い(SOMPOリスクマネジメントにて作成)

これらは目的も時間軸も異なりますが、実務上は切り離せるものではありません。だからこそ、「分けて考える」のではなく、つなげて考える必要があるのです。

鶴(広報:鶴)

ただ、現場を見ていると、「分かってはいるけれど、実務では分断されている」というケースが本当に多いと感じます。リスク管理はリスク統括部署、危機対応マニュアルは総務部、有事広報は広報部、といった具合ですね。有事になると、「これは誰が判断するのか」「今、公表していいのか」と立ち止まってしまい、初動が遅れてしまう。こうした場面を、私たちは何度も見てきました。

3.SOMPOリスクマネジメントが支える、判断を止めないための危機管理―初動・現場・広報をつなぐ

3人対談

(危機管理:横川)

私たち危機管理コンサルタントが担っているのは、有事が発生した際に、いかに企業への影響を最小化するかを考えることです。危機の定義、危機レベル判断、対策本部立ち上げ基準等を整理し、マニュアルに落とし込みますが、作ること自体が目的ではありません。
有事に迅速かつ適切な対応が取れるよう、研修やシミュレーション訓練を通じて、判断や意思決定をあらかじめ「経験しておく」ことを重視しています。各社を取り巻くリスクは異なりますが、共通して重要なのは、有事に判断が止まらない状態を平時から整えておくことです。だからこそ、画一的な支援ではなく、各社の特徴や事情に応じて、実際に使える体制づくりにつなげることを大切にしています。その結果として、「作ったけれど使えないマニュアル」「受講しただけの研修・訓練」に終わらせないことも重視しています。

 

渡邊(食品:渡邉)

食品事故対応でも、「使えるマニュアル」の重要性は強く感じます。食品は「消費者が直接体内に取り込むもの」であり、事故が起きた際には他の業界以上に迅速な判断が求められます。場合によっては、原因が完全に分からない段階でも判断を迫られる場面があります。
例えば、「回収を実施するか」「消費者にどのような情報を発信するか」。これらは消費者の安全を守るために、短時間で判断しなければならない事項です。そのため、平時のうちに定めるべきことを落とし込んだ、食品企業にとって「使えるマニュアル」の策定を支援しています。

横川(危機管理:横川)

食品事故は、迅速性が強く求められるケースですね。初動対応、危機レベルの判断、対策本部の立ち上げがほぼ同時に走ることもあります。ここで迷いが生じると、その後の対応すべてに影響が出てしまう。

渡邊(食品:渡邉)

はい。だからこそ食品事故対応訓練では、「こういう状況なら、どこまで判断するのか」「どのタイミングで次の対応に移るのか」等、迅速に行うべきいくつかの判断を経験し、判断を頭で理解するだけでなく、訓練で体感しておくことが重要だと考えています。

鶴(広報:鶴)

その判断が、そのまま有事広報にも直結します。SNSを通じて情報が一気に拡散することも多く、企業が公表する前に世の中に情報が出てしまうケースもあります。この段階で企業としての判断が整理されていないと、「なぜ説明しないのか」「何か隠しているのではないか」といった疑念を招きやすくなります。

一方で、何でもかんでも公表すればいいというわけでもありません。有事広報の現場では、「公表するか、しないか」「するとしたら、どこまで公表するか」という判断に、必ず直面します。このため当社には、謝罪会見の訓練や有事広報マニュアルの作成、さらには実際の有事対応のご相談も少なくありません。

4. 問い合わせから見える企業の課題と、一気通貫支援の強み

横川(危機管理:横川)

企業やブランドに対するネガティブな評判が広まることで、企業価値や信頼が損なわれるおそれのあるリスクである「レピュテーションリスク」を懸念する企業が多いです。その結果、有事広報対応といった社外対応のみに意識が向いてしまうケースも見受けられます。しかし現代では、管理監督体制や危機対応への取り組み姿勢といった点まで厳しく問われます。「社外対応をしっかりやれば叩かれない」と考えて及び腰になるのではなく、問題が起きてしまった以上、ステークホルダーから厳しい言葉を受けることは避けて通れない現実であると真摯に受け止めたうえで、予兆覚知や迅速な報告体制、意思決定ができる状態を整えておくことが重要です。有事広報対応は欠かせませんが、社内対応から社外対応までを一体として捉え、一気通貫で取り組む必要があると考えています。

渡邊(食品:渡邉)
たしかに食品業界でも、近年はレピュテーションリスクが意識されていると感じます。食品事故対応に関するマニュアルや訓練の内容に、SNSとの向き合い方を組み込む企業が増えています。SNSとの関わり方は、有事対応においてプラスとマイナスの両面で注視するべきポイントの一つです。正確で分かりやすい情報を迅速に消費者に伝えることが重要であり、その「発信」や「状況の確認」の手段としてSNSは考慮するべきツールです。
情報発信の迅速性が重要となる食品業界では、原因等の詳しい事情が分からない段階でも、「喫食しないでください」という情報発信を行わなければならない局面が、現実に起こり得ます。このような情報発信はレピュテーションリスクを伴いますが、有事広報の視点として、その前提を平時からマニュアルに組み込んでおくことが必要であると感じます。

鶴(広報:鶴)

実際の有事を経験して学ぶこともできますが、それはできれば避けたいですよね。有事広報は、平時の備えや訓練によって身に着けるべきものだと感じます。その際に、専門家の知見を活用していただくとよいと思います。

横川(危機管理:横川)

そうですね。当社は事業会社出身者を中心に、メディア出身者や省庁出身者等、多様なバックグラウンドを持つコンサルタントが在籍しています。そのため、危機管理の専門家としての視点と、業界経験者としての実務視点の両面から、企業が直面する現実的な課題に寄り添った支援が可能です。また、プロジェクトメンバーを柔軟に組成できる点も、当社の強みではないでしょうか。

渡邊(食品:渡邉)

そうですね。一定の業界に特化したコンサルタントのみではなく、必要に応じて広報やコンプライアンス等の様々な分野のコンサルタントと連携して対応する。そうすることで、お客さまの要望に沿った充実した支援が可能になります。

鶴(広報:鶴)

訓練でも同じことが言えますね。記者会見だけを切り出して行うのではなく、初動対応や対策本部訓練の延長として記者会見訓練へとつなげることで、よりリアルな訓練になります。例えば、「食品会社で食中毒の死亡事故があり記者会見を開く」という訓練をする場合、食品業界の専門コンサルタントと元記者のコンサルタントが連携することで、初動対応~対策本部設置~記者会見までの時系列で、より実践的なシナリオでリアルな訓練にすることが可能です。
当社には元企業広報経験者や元記者のコンサルタントが複数在籍していますので、企業とマスコミ、双方の事情を理解したご支援が可能です。お客さまとともに、実務に即したかたちで訓練の意義や内容を一緒に整理していければと思います。

5. 今後、企業が目指すべき姿と担当者へのメッセージ

横川(危機管理:横川)

以前、とある企業で人命被害を出しかねない重大な危機が発生しました。当時現場で指揮を執っていた方は、「人命被害が出ず、冷静かつ適切に従業員が対応できたのは、訓練のたまものだ」と振り返っていました。
危機は発生頻度が低く、費用対効果が見えにくいため、特に自然災害以外の事案では、予算確保に苦労する企業も少なくありません。しかし、発生時の損害を考えれば、危機管理は「コスト」ではなく「先行投資」と捉えることが重要だと思います。

渡邊(食品:渡邉)

食品事故対応では、「安全」「品質」「法令」に加え、「レピュテーション」を含めて考える必要があります。そして、社会や消費者の意識、法令の変化に伴い、「注視するべき要素」や「行わなければならない対応」は、今後も間違いなく変化し続けます。したがって、消費者の安全を守るため、企業は情報と体制を継続的にアップデートする必要があります。

鶴(広報:鶴)

広報分野もアップデートは必要ですね。かつては公表しなくて済んだような事案でも、SNS等で拡散される前に先手を打って公表する、ということもあります。一方で、何でも公表すればよいわけでもありませんので、「適切な公表」を行うためには、平時からの備えが重要です。

横川(危機管理:横川)

どうすればいいか分からない、今の体制に抜け漏れがないか確認したい。そんなときに、第三者の視点を入れることも一つの選択肢です。私たちは、そうした企業の伴走者でありたいですね。

危機管理体制構築に関して課題をお持ちの方

「ワンストップ型」危機管理体制構築支援

危機管理体制構築支援

危機管理広報(メディア対応)

食品リスクマネジメント

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