医療機関における掲示板管理のポイント

医療機関における掲示板管理のポイント

1.はじめに

医療機関の掲示板は、患者さんやその家族にとって、日々の診療に関する情報・医療機関からのお知らせを受け取る重要なツールです。同時に医療機関の姿勢や、患者さんへの配慮を示す「鏡」としての役割も担っています。本コラムでは、医療安全とコンプライアンスを遵守し、患者さんからの信頼を築くために、医療機関の掲示板管理のポイントを解説します。

2.患者さん目線の「わかりやすさ」

患者さんにとって、掲示内容が理解しやすい・見やすい・アプローチしやすい状況になっていますか。

•  専門用語の回避 「生検」「バイタル」「褥そう(じょくそう)」などの専門用語は、噛み砕いた表現にするか、簡単な注釈を添えます。例: 「生検」→「組織を採取して調べる検査」
•  視認性の確保 高齢の方や視力の弱い方にも配慮し、見出しは大きく、本文も適切な太さ(ユニバーサルデザインフォント推奨)で作成します。
•  色の使い方 高齢の方や視力の弱い方にも配慮し、見出しは大きく、本文も適切な太さ(ユニバーサルデザインフォント推奨)で作成します。
•  掲示場所の高さ 車椅子の方が見やすいように低い位置に掲示版を設置するなど、見える位置になっているかを考慮します。
•  掲示場所 バス停に近い入口にはバスの時刻表、職員に怒鳴るなどペイシェントハラスメントが起こりやすい支払窓口には、医療機関の毅然とした対応についてのポスターを掲示します。掲示内容と見てほしい・見せたい場所が一致するようにし、情報を伝えたい相手に届くように掲示します。

3.掲載情報の「鮮度」と「正確性」

掲示板に掲載されている情報は、常に最新かつ正確である必要があります。情報の遅れや誤りは、患者さんの混乱を招き、医療機関への不信感を抱かせる原因となります。

•  期限切れ情報の撤去 終了したイベント、過去の休診案内、期限の切れた公的なお知らせ・ウォームビズ、クールビズなど季節ごとのお知らせが放置されていないか定期的に確認し、期限の過ぎたものは速やかに撤去することが重要です。
•  最新の診療情報の維持 医師の交代や診療時間の変更は、決定次第すぐに反映させる必要があります。

4.コンプライアンスの遵守

掲示板は不特定多数の目に触れる場所であることを、意識する必要があります。

•  広告規制の遵守  医療法における広告制限に抵触しないよう、効果効能を過度に強調する表現(例:「絶対治る」「地域No.1」など)は避けます。
•  著作権の遵守 著作権者の許可なく勝手にアニメのキャラクターを用いてポスターを掲示することは、著作権侵害となるので使用を避けましょう。
•  法律の遵守 自院を指す記号として「赤十字マーク」が記載されているポスターを散見することがありますが、これは法律違反(赤十字標章及び名称等の使用の制限に関する法律第1条、商標法第4条)です。「赤十字マーク」を使用できるのは、赤十字社と自衛隊の衛生部隊など法律等に基づいて使用が認められている組織のみです。

5.掲示板の「美観」と「マナー」

掲示板の状態は、院内の衛生管理や規律の印象を左右します。

•  整列と余白 チラシを重ねて貼ったり、斜めに貼ったりせず、整然と並べます。適度な余白を作ることで、読む人の視覚的ストレスを軽減できます。
•  掲示物の劣化対策 色あせた紙や、端が丸まった掲示物は、それだけで「古い情報」に見えてしまいます。ラミネート加工を施すか、定期的に貼り替えます。
•  掲示しっぱなし お知らせする内容に変更がなくとも、3年以上同じ内容が掲示されつづけると「景色」になり、患者さんは情報をとりにいかなくなります。同じ内容であっても、記載文章を変える、フォーマットを変えるなどして、定期的な掲示物の張替えを推奨します。
•  掲示方法の安全管理 画鋲が床に落ちると大変危険です。マグネット式のボードを採用するか、テープの跡が残らない工夫などを検討してください。

まとめ

掲示板は単なる「情報集」ではなく、患者さんと医療機関のコミュニケーションツールです。「医療機関が伝えたいこと」だけでなく「患者さんが今、何を知りたいか」という視点を常に持つことが重要です。


今回の内容を元に、定期的な点検日時の設定をしてはいかがでしょうか。 「毎週水曜日 14時」など、掲示板を確認・整理する担当者と日時を決めておくのが効果的です。担当者は部署持ち回りを推奨します。自部署は目が慣れており【景色】になりやすいですが、他部署は新鮮な目で見ることができます。管理職や新人といった様々な職責、医療職や事務職といった多職種で実施すると、様々な視点からの点検と気づきが得られます。

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