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工場火災に対するリスクマネジメントとは!?―企業がとるべき「攻めの防災」
1.はじめに:見えない脅威から企業価値を守るために
工場運営において、火災や事故は単なる「アクシデント」として片付けられるものではありません。これらは事業継続を根底から揺るがし、長年築き上げた企業価値を一瞬にして毀損しかねない、重大な経営課題です。
経営者様をはじめ、施設管理者、防災責任者、BCM担当者の皆様におかれましては、「この見えない脅威とどう向き合うべきか」「事業を守り抜くために何ができるか」と、日々腐心されているのではないでしょうか。
本コラムでは、工場火災を取り巻く近年のデータをもとに現状を紐解き、企業の持続的成長に不可欠な「一歩進んだ対応策」について解説します。
2.データで見る工場火災:火災リスクが高まっている?
総務省 消防庁の『消防白書[1]』に基づき、工場等における火災の推移を見てみましょう(図1)。
まず「工場等[2]の出火件数(図1:左目盛・折れ線グラフ)」ですが、2009年から2019年にかけては一定の範囲で推移していました。しかし、2020年の一時的な減少を経て、直近のデータでは再び増加傾向にあります。
さらに注目すべき指標は、「防火対象物[3]1万件あたりの工場等の出火件数(以下「工場等出火率」)」です。2014年までは比較的安定して推移していましたが、2015年以降は上昇基調に転じました。2019年のピーク後、一度は低下したものの、2021年以降は再上昇し、2023年には過去最高水準に達しています。
図1 工場等の出火件数と出火率(出典:総務省 消防白書に基づき筆者が作成)
この「工場等出火率の上昇」は何を意味するのでしょうか。
明確な理由は定かではありませんが、設備の老朽化や、現場を支えてきた熟練従業員の減少など、製造現場が抱える「構造的な課題・リスク」が表面化している可能性があります。
では、このような上昇トレンドにあるリスクに対し、企業はどう向き合うべきでしょうか。
3.リスクマネジメントの重要性:「未然防止・早期復旧・再発防止」の取組み
前述したとおり、工場火災のリスク要因が構造的・複雑化している現在、万が一の事態に対する備え方も進化させる必要があります。
従来、保険の役割は、事故発生時の経済的損失を補償する「Pay(支払い)」が中心でした。しかし、リスクが高まり、現代の高度化・複雑化した環境下では、事後の金銭的な補償だけでは失墜した信用や供給責任を取り戻すことは難しくなっています。
そのため、現在、保険会社は、経済的損失を埋めるだけではなく、企業価値の向上と企業の事業継続を支えるパートナーへと役割を変えています[4] [5] [6]。具体的には、以下の「三つの要素」を組み合わせた統合的なリスクマネジメントを推奨して、事業そのものを強くするアプローチをとっています。
- 未然防止:設備の異常や劣化傾向を保守・維持管理し、定期的な訓練を行うことが基本である。近年は、リスク評価/リスクアセスメントに加え、IoTセンサーやAI技術を活用した「不具合の早期検知・予兆検知」の導入が進んでいる。
- 早期復旧:万が一事故が発生した場合でも被害を最小限に抑える、事業の早期再開に備える。実効性の高いBCP(事業継続計画)を策定し、訓練等による実効性を高める。
- 再発防止:事故原因を根本から究明し、事故再発防止対策を講じる。さらに、PDCAサイクルを回し、再発防止対策の実効性を継続的に検証しリスク管理レベルをアップデートし続ける。
図2 統合的なリスクマネジメント(出典:画像生成AIに基づき筆者が加筆)
4.事故防止へ向けた実践的アプローチ:SOMPOリスクマネジメントの支援
私たちSOMPOリスクマネジメントが提供するコンサルティングの目的は、単に目の前の事故件数を減らすことだけではありません。徹底した原因究明による再発防止対策はもちろん、原状回復にとどまらない「未来を見据えた改善対策」を提案します。
工学的知見に基づいたリスクエンジニアリングにより、安定した工場稼働を実現し、サプライチェーンからの信頼を確固たるものにする——これこそが、経営課題の解決に直結する支援であると私たちは考えています。
リスクマネジメントは「コスト」ではなく「投資」
“安全対策”は、未来の企業価値を守り、高めるための必須の「投資」です。
従来の保険の枠を超え、専門的なリスクエンジニアリングサービスを通じて、貴社がより安全で強靭な事業基盤を築けるよう、私たちが伴走いたします。
まずは、貴社工場が抱える潜在的な火災リスクや、事故の再発防止対策について、SOMPOリスクマネジメントの専門家(リスクエンジニア)と一緒に現場で見直してみませんか?
参考文献
[1]総務省 消防庁,消防白書, https://www.fdma.go.jp/
[2]消防白書 「工場等」は消防法施行令別表第一(12)項イ(工場又は作業場)を、「一般事業所」は同表(戸建て住宅は含まれない)から(5)項ロ(寄宿舎,下宿又は 共同住宅)、(12)項イ及び(14)項を除いたもの(以下同じ)。
[3]延べ面積150㎡以上の防火対象物数
[4]損害保険ジャパン株式会社, 洋上風力発電所向け海底電力ケーブルの異常予兆検知に関する検討を開始,
https://www.sompo-japan.co.jp/-/media/SJNK/files/news/2024/20250219_1.pdf?la=ja-JP
[5]損害保険ジャパン株式会社, 企業総合保険の契約者向け「被災設備修復サービス」の提供開始,
https://www.sompo-japan.co.jp/-/media/SJNK/files/news/sj/2010/20101207_1.pdf?la=ja-JP
[6]損害保険ジャパン株式会社, 企業分野火災保険に付帯サービスを新設, ①事故再発防止策レポート作成サービス,
https://www.sompo-japan.co.jp/-/media/SJNK/files/news/2022/20220818_1.pdf?la=ja-JP
執筆者紹介
天野 賢志 Kenji Amano
リスクエンジニアリング部 担当部長
大学院にて火災安全工学を専攻。2007年入社後、工場・コンビナートにおける火災・爆発リスク評価業務に従事。
損害保険ジャパンでの引受業務(アンダーライティング)・支払業務の実務経験を活かし、現在はリスク評価手法の開発や工学的知見と保険実務を融合させた業務支援・ソリューション提供を行っている。
(2026年1月時点)
天野 賢志
リスクエンジニアリング部
担当部長
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※コンサルタントの所属・役職は掲載当時の情報です。