企業リスク情報誌『SAFETY EYE NEO』

No.12(2015年5月発行)世界の洪水リスクの現状と将来見通し

自然災害

本誌、『SAFETY EYE NEO』は、損保ジャパン日本興亜リスクマネジメント株式会社が、企業におけるリスクマネジメント実践の推進に役立てていただくことを目的に、毎回、企業を取り巻くリスクに関連するテーマを特集しています。

今回は「世界の洪水リスクの現状と将来見通し」をテーマに取り上げました。
2011 年に発生したタイ・チャオプラヤ川流域の洪水は、大規模かつ長期間にわたる浸水により甚大な経済損失を同国にもたらしました。再保険会社Munich RE 社の集計によると、2011 年タイ洪水による経済損失は430 億米ドルと報告されており、風水災による経済損失で見ると、2005 年ハリケーン・カトリーナ(1,250 億米ドル)、2012 年ハリケーン・サンディ(685 億米ドル)に次ぐ、第三位の規模となっています*1。日系企業が多く進出しているアジア諸国は、モンスーン気候による多雨である一方、洪水対策が未だ不十分なことから、洪水リスクが高い地域とみなされています。したがって、これらの国・地域において「タイ洪水の再来」の可能性は否定できません。
本誌では、世界の洪水リスクの「現状」と「将来見通し」をテーマに解説を行っていきます。
第1 章では、山口大学今村能之教授に、世界の洪水リスクの「現状」について解説して頂きます。様々な文献資料、客観データに基づいて、過去から近年に発生した洪水の歴史を解説し、さらに国別、地域別の水災害リスクの現状と対応能力の比較も示しています。これらから、世界の洪水リスクの現状を俯瞰的に理解して頂けると思います。また本章は洪水リスクに関する多数の資料・データを参考資料として掲載していますので、さらに深掘りして洪水リスクを調査される際には、有用なガイドとして活用頂けるものと思います。
第2 章では、東京工業大学鼎信次郎教授・東京大学平林由希子准教授に、最新の地球温暖化研究から見える洪水リスクの「将来見通し」について解説いただきます。著者らが実施した、地球温暖化影響を考慮した世界中の洪水シミュレーションに基づいて、洪水リスクの将来変化について解説しています。その結果からは、現在より洪水リスクが増加/減少する地域が現れてきています。内容は一般読者向けに要点を示しながら解説されているので、最新の気候変動研究をより分かり易く理解して頂けるものと思います。本章から洪水リスクの将来見通しをイメージして頂き、中長期的なリスクマネジメントの参考としていただけることを期待します。
本誌が、洪水リスクの「現状」と「将来見通し」の理解の促進が図られ、「タイ洪水の再来」を防ぐヒント・取り組みのご検討にお役に立てれば幸いです。

*1出典:Munich Re,“Loss events worldwide 1980–2013:10costliest events ordered by overall losses”, NatCatSERVICE, https://www.munichre.com/site/touch-naturalhazards/get/documents_E-311190580/mr/assetpool.shared/Documents/5_Touch/_NatCatService/Significant-Natural-Catastrophes/2013/10-costliest-events-ordered-by-overall-losses-worldwide.pdf(アクセス日:2015年2月17 日)

1. 急増する世界の水災害とリスク評価
 はじめに
  1. 世界の水災害
  2. 大規模な水災害発生の事例
  3. 水災害リスク
  4. 日本の治水対策と日本への期待
 おわりに
2. 気候変動と世界の洪水リスク変化
 はじめに
  1. 地球温暖化に伴う世界の洪水リスク変化1:背景および設定
  2. 地球温暖化に伴う世界の洪水リスク変化2:結果
  3. 「地球温暖化に伴う世界の洪水リスク変化」に対してのFAQ と回答例
 おわりに

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