企業リスク情報誌『SAFETY EYE』

No.45(2011年4月発行)社会的責任課題の世界標準――国際規格(ISO 26000)の実践

ESG/CSR/環境

本誌『SAFETY EYE』は、NKSJ リスクマネジメントが、企業におけるリスクマネジメント実践の推進に役立てていただくことを目的に、毎回、企業を取り巻くリスクに関連するテーマを特集しています。
今回は、「社会的責任課題の世界標準――国際規格(ISO 26000)の実践」というテーマを取り上げました。
2010年11月1日に、社会的責任に関する国際規格であるISO 26000(Guidance on social responsibility)が発行されました。持続可能な発展のために、組織はどのような社会的責任を果たす必要があるのかを解説した世界標準の手引書です。中国、中南米、東南アジア、アフリカ等の途上国も積極的に参加して策定されたことから、この規格は世界中で広く活用されることが予想されます。また、既存の国際基準との整合性を確実にするために国際労働機関(ILO)、国連グローバルコンパクト(UNGC)、経済協力開発機構(OECD)等とも覚書(MOU)を交わし、協議を重ねてきました。既に日本経団連企業行動憲章が、この国際規格を反映し2010年9月に改定されていますが、今後、各国の法制やさまざまな民間規格などにも大きな影響を与えるものと考えられます。
第1章では、「ISO 26000をいかに活用するか 麗澤大学におけるチャレンジ」と題して、大学で本規格を実践するための事例を麗澤大学経済学部長 高 巌教授に解説していただきます。高先生は、2003年に国際規格・技術管理評議会が設けた「高等戦略諮問会議」(SAG)の委員に日本を代表して就任され、ISO 26000の国際規格立ち上げに深く関わられました。
第2章では、「ISO 26000 社会的責任規格の概要と企業での活用について」と題して、企業からの目線で本規格の概要と企業における活用の方向性について日本電気株式会社CSR 推進部長 鈴木 均氏より解説していただきます。鈴木氏は、日本経団連社会的責任経営部会・WG・ISO 規格化対応委員主査として、ISO 26000の国際規格策定に深く関わられました。
第3章では、「ISO 26000の8つのポイントを語る」と題して、本規格の重要なポイントを株式会社損害保険ジャパン理事CSR 統括部長 関 正雄氏に解説していただきます。関氏は、ISO 26000の日本産業界代表エキスパートの立場で実際に作業部会に参加して、5年間にわたって国際規格の文案起草に深く関わられました。

第1章 ISO 26000をいかに活用するか 麗澤大学におけるチャレンジ
1. ISOにおける2002年から2004年までの論議
2. 積極活用を決意した動機は
3. ISO 26000の3つの特徴
4. 麗澤大学のチャレンジ
5. 麗澤大学におけるマネジメント態勢の構築
6. まとめ

第2章 ISO 26000 社会的責任規格の概要と企業での活用について
1. 規格の概要と特徴
2. 規格化の意義
3. 企業へのインパクト
4. 企業での活用に向けて
5. まとめ

第3章 ISO 26000の8つのポイントを語る
1. マルチステークホルダー方式による開発は何をもたらしたか?
2. 合意形成の過程が規格内容にどう影響したか?
3. 中国、アメリカ、ヨーロッパ、日本など、各国の反応
4. 今後のカギを握ると思われる途上国の動き
5. キーコンセプトとしてのステークホルダーエンゲージメント
6. 人権とデューディリジェンス
7. CSRからSRへという流れ
8. 企業が有効活用するためにはどうしたらよいか?
9. まとめ

添付資料
1. ISO 26000(2010 年度版目次)
2. ISO 26000の図式による概要

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