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医療現場を変えるアイデア
新しい働き方を探して
Vol.4
患者さんに向き合う時間を作る動画説明
Contrea株式会社「MediOS動画説明」
取材日:2025年10月22日
作業効率の上昇などが期待される動画説明ですが、効果はそれだけにとどまりません。
今回は動画説明の先駆的企業であるContrea株式会社の皆さんに、
動画説明が医療の質にもたらす影響等についてお話しをお伺いしてきました。
MediOS(メディオス)動画説明
入院、検査、各診療科における標準的な説明を動画にしたもので、
医療者の説明業務の効率化と、患者の理解を深めるツールとして活用されている。
動画説明は患者さんと向き合う時間を増やすもの
―動画説明とは、検査方法や術式、入院等の標準的な説明を、対面ではなくタブレット等で動画を見てもらう形で行うことをいいますが、まずはどのように使われるか教えてください。
動画説明は対面での説明をすべて代替するものではなく、あくまでも補完するものになります。まず患者さんに動画説明を視聴してもらい、その後に医療者がそれを踏まえて、患者さんの理解が不十分な点や、個別のリスクについて説明を行う、といった形で使用されます。
―動画説明サービスを提供する企業も増えてきましたが、「MediOS動画説明」(以下、MediOS)の特徴をお聞かせください。
MediOSの特徴は大きく2つあります。1つは、分かりやすさ、正確さを追及したクオリティの高い動画であること。私たちがもっとも大切にしているのは、患者さんが正しく理解できる動画をつくることです。単にテキストを読み上げたり、イラストを表示するだけでは、理解が難しいものもありますので、細部にまでこだわったアニメーションやナレーションを用いています。また、各診療科の権威ある先生の監修を受けたり、ガイドラインの改訂も速やかに反映するなどして、正確さにも万全を期しています。
実際の動画説明の画面。現在、入院、検査、麻酔科、外科、消化器内科、整形外科、泌尿器科、眼科に対応。
重要な選択に関わるから、正確さは妥協しない
―実際に見てみると、ナレーションとアニメーションが同時に展開されていくというのは、紙の説明書を読むだけだったり、口頭のみで説明を受けるよりもずっと分かりやすいですね。
医療用語をタップすると、解説が表示されるなどの仕掛けも、ユーザーの理解を助けてくれます。動画作成はほとんど内製化されているとお伺いしました。
当社には医師や看護師などの医療職経験者が在籍しており、彼らを交えたチームで制作しています。動画作成は工程が多く本当に手間がかかるので、外部委託を考えたこともありますが、医学的な正確さを追及するには、制作側に医療者がどうしても必要でした。
例えば、アニメーションの肋骨の本数が少なかったり、動きが不自然だったり、細かいところで調整がものすごく発生してしまうんです。アニメーションを付けるところなど、一部は外部に委託していますが、全体としては一つのチームで一貫して行っています。
医療用語をタップすると、解説画面が開く
―そこまで正確性にこだわるのはなぜなんでしょう。イラストであれば、ある程度何を指しているかが分かればよいようにも思いますが…
動画説明の中には、手術や薬剤の使用など、重い意思決定に関わるものもあります。患者さんの命にも影響する情報提供だからこそ、正確性は決して妥協できません。
医療機関の方針に合わせ、カスタマイズできる柔軟設計
―なるほど。患者さんの人生の大事な局面で使われるものでもあるので、正確さを重視されているのですね。
内容は導入施設でカスタマイズもできるそうですね。
はい。医療機関によって重点を置くポイントが微妙に異なるため、カスタマイズできるようにしています。例えば、合併症は口頭で説明したい、ということであれば動画からは省略したり、独自に作成している動画を使いたい、ということであれば挿入することもできます。アニメーションのメスを入れる位置を変えて欲しいといった要望にもお応えしたことがありますね。
視聴ログで「言った」「聞いていない」問題も解消
―カスタマイズはすべて御社で対応していただけるのも、忙しい医療者にとっては有難いですね。MediOSのもう一つの特徴はなんでしょうか。
患者さんの視聴状況を詳細に記録できることです。MediOSでは、チャプターごとに視聴状況――視聴済み、視聴完了率○%、繰り返し視聴、スキップ――といった情報を自動で記録します。さらに、患者さん自身が理解度を申告する機能もあるので、医療者はそれらを確認したうえで、対面説明に臨むことができます。
チャプターごとに視聴日や視聴状況の詳細が確認できる
動画視聴後に、患者が自身の理解度を5段階で評価
―患者さんの理解度を客観的に測れるのはよいですよね。対面のみだと、患者さんも遠慮して「分かりました」と回答しがちだったり、実際にどこまで理解できているか判断がつきにくいところがあると思います。
「記録に残る」ということは、医療機関にとって非常に重要な意味を持ちます。詳細な視聴履歴が残ることで、「言った」「聞いていない」といったトラブルを防ぐことができます。視聴履歴は二次元バーコード(QR)を通じて電子カルテに残すことが可能です。
―気になるのが説明義務との関係ですが、説明方法は医療機関の裁量に委ねられているため、質疑応答に至るまでの説明については、動画を用いても法律的には問題はない、という理解でよろしいでしょうか*1。 *1 説明義務は医療法第一条の四 2「医師、歯科医師(中略)医療の担い手は(中略)適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない」と規定されており、特定の形式が定められているわけではない。
その理解で問題ありません。また補足すると、動画を視聴してもらい、そのうえで質疑応答を行っていることが記録として残っていれば、訴訟時の証拠としても有効である旨、専門家の先生にもお墨付きをいただいています。
所要時間は1/3に。経営改善にも寄与
―実際にMediOSを導入された医療機関では、どのような効果がみられましたか。
分かりやすいのは対面による説明時間の短縮ですね。入院や検査のような手続き的な簡易な説明はもちろん、手術や抗がん剤の選択といった意思決定を伴う重要な説明でも、約3分の1ほどに短縮された事例もあります。事例によっては、30分かけていたものが5分程度で済んだケースもあり、時間短縮は効果を感じやすい部分かと思います。
また、入院時の説明など、ベテランの看護師さんが担当されていたのを、MediOSを使用する部分は短時間勤務の方や、障害者雇用の方が担うなど、タスクシフトの実現にもつながっています。
―業務を分散できることで、スキルの有効活用につながったり、適性を活かせるのはよいですね。
スキルの有効活用という点では、認定看護師さんが、説明に充てていた時間を加算点数の業務に充てられるようになり、算定漏れが減ったという事例もあります。
ほかにも、外来で説明を担当していた医師を4人から3人に減らせた、説明がスムーズになったことで、入退院センターの予定入院患者の取扱い件数や入院時支援加算の算定件数が増加した、という報告も寄せられていて、経営にも影響がみられています。
納得のいくまで視聴して、満足できる意思決定を行う
―患者さんが享受するメリットとしては、どのようなものがありますか。
やはり、繰り返し見返せることもあり、理解が深まるというのが大きいですね。動画を見ながら浮かんだ疑問を記録できる機能もあるので、診察時に効率的に質疑応答が行えます。医療者からは、同じ説明を繰り返すことが減り、質問がより具体的で建設的になったという声も聞かれます。
―それはとても大事な点だと感じます。インフォームドコンセントの目的である、患者さんの理解を促し、意思決定を支援するという部分をまさに実現されていることになりますよね。
DCS*2という、患者さんが意思決定の際に感じる葛藤や不安を測定する尺度があるのですが 、このスコアが低いほど葛藤が少なく、納得して意思決定できている状態を意味します。胃がんの宣告を受ける患者さんを対象に、MediOSを使用した群と使用しなかった群で比較したところ、使用した群では対面での説明時間が約40%短く、DCSスコアは半分、つまり葛藤が少ない結果となりました。 *2 Decisional Conflict Scale。選択肢の理解度や選択における支援の充実度、決定に対する自信等、16項目の合計スコアにより評価する。
―宣告の直後だと不安や動揺も大きく、口頭での説明もなかなか頭に入ってこないですよね。また、終始、医師が目の前にいることで感じるプレッシャーもあるかもしれません。対面のみだと満足のいく意思決定が難しいというのは分かる気がします。
まず医師が、「検査の結果、あなたはこういう病気でした、これから今後数年に関わる大事な決定をすることになります。分かりやすい情報として動画にまとめているので、はじめにこれを見てください」というように、患者さんに動画説明を見てもらう。ご家族が同席している場合は、ご家族とも何度も動画を見て話し合うなどして、再度診察室に来た時は、「この薬で治療します」というように、患者さんの心の内がある程度決まっていることが多いようです。
遠方の家族にも簡単に共有。年代を問わない操作性
―人生が関わる重大な意思決定を、自分のペースで心にゆとりをもって行うことができる。動画説明は単に分かりやすく理解できる、という域を超えて医療の質に貢献しているのですね。
ご家族と共有しやすいのも優れた点だと思いました。
ご家族が遠方に住んでいる場合も、URLや二次元バーコード(QR)で動画を共有できます。患者さん本人からでは、どうしても伝達ロスが起こりがちなので、ご家族に正しい情報を届けることにもつながっていると思っています。
ほかに患者さんからは、自宅で視聴することで待ち時間が減るので、身体的な負担が減ると喜んでいただけていますね。実際に、医療機関からは、待ち時間に関する苦情も減ったと聞いています。
―こう言っては失礼かもしれませんが、ご高齢の患者さんがこのようなデバイスを使うことに戸惑うことはないのでしょうか。
MediOSを利用する患者さんの半数以上が60代です。音量や再生スピードを調整することにより、ご自身に合わせた環境で視聴できるので、むしろ、高齢者の方が動画説明は向いていると感じますね。
―今はスマートフォンを使いこなされる高齢者も多いですし、過度に心配することはないということですね。
実際に導入するとした場合、どこから始めるのがよさそうでしょうか。とくに麻酔科での導入事例が多いように見受けられましたが、理由があるのでしょうか。
麻酔や検査といった中央部門は対象の患者さんも多いので、医療機関全体としても効果を感じやすいというのはありますね。中央部門から個別の診療科に展開していくといったケースは多いです。
どこから始めるかに関していえば、DXについてはまだまだ懐疑的な見方も多いので、DXに意欲的な部門から始めて、そこから広げていくというのも一つだと思います。
導入だけでは不十分。成果を左右するのは“業務フローの構築”
―導入に向けて、医療機関で必要な準備はありますか。
MediOSを導入することで新たに発生する作業――患者さんへの案内や医療職が視聴履歴を確認するタイミングなど――を通常業務のどこに組み込むのか、スマートフォンを持っている人/持っていない人で案内をどのように変えるのか、院内で見るのか/自宅で見てもらうのか、といったフロー設計を綿密にすることが大切です。ここを整理しておかないと、ほぼ確実に活用できません。
―単純に導入するだけではダメ、ということですね。でも、ないものをあると仮定して、フローを考えるのはとても難しそうです。
はい、そこは当社の導入支援室がサポートします。業務フローは医療機関、診療科で異なるので、個別にヒアリングし、どこに組み込むのが最適かを提案しながら一緒に構築していきます。
実は、過去に解約が続いた時期があったんですが、原因はフローが構築できていなかったことでした。それをきっかけに、色々な医療機関に足を運んで試行錯誤を重ねた末、適切なフローのご提案ができるようになりました。ここ3~4年は解約が発生していません。運用フローのナレッジは当社の強みにもなっています。
予定入院の場合(受診後、”後日”入院案内の場合)
運用フローの例(1)
緊急入院の場合(同日案内から同日入院の場合)
運用フローの例(2)
―導入支援室ではほかにどのようなサポートをしていただけるのでしょうか。
毎月何人の患者さんが見たのか、視聴完了率は何%なのか、といったデータを当社で管理していますので、それを医療機関にフィードバックしています。患者さんが思うように見てくれない、といった問題があればフローの変更を提案したり、効果が実感できるまで伴走しています。
カスタマイズ動画の相談も導入支援室で受けていますが、単にご要望をそのまま反映するのではなく、当社の経験を踏まえて、より患者さんに伝わりやすい表現があれば代替案を提案しています。また、カスタマイズによって説明がかえって複雑になると判断した場合は、率直にその旨をお伝えするなど、分かりやすい動画を一緒に検討していきます。
―2021年の販売当初は「動画で説明するなんてありえない」という否定的な反応が多かったそうですが、それが今や患者利用回数も15万回越え(取材時点)と素晴らしい飛躍ですよね。今後の展望についてお聞かせください。
動画説明に関しては、パイオニアとしてクオリティの低いものを作ってしまうと、医療業界で動画説明が根付く可能性を阻むと考え、真摯に取り組んできました。今後も、当社が培ってきた経験を活かし、医療現場のニーズに沿ったコンテンツを拡充していく予定です。
“MediOS”という名前には、患者さんと医療者が向き合うために欠かせない存在でありたいという思いと、メディカルのオペレーションシステムを目指す意図が込められています。電子同意書や電子問診などもリリースしていますが、今後も患者さんや医療機関から信頼されるサービスを提供し続けていきたいと思います。
―医療におけるDXは、業務の効率化だけではなく、患者さんによりよい医療を提供することが根幹であると、改めて感じさせられました。本日はどうもありがとうございました。
(聞き手:SOMPOリスクマネジメント 医療・介護コンサルティング部 関 悠希)
ご協力:Contrea株式会社 (敬称略・順不同)
代表取締役 川端一広(放射線技師)
マーケティング 長竹真輝
マーケティング/シニアディレクター 佐原業平
Contrea株式会社
2020年設立。「医療にかかわる全ての人に安心を。」をミッションに、医師と患者をつなぐプラットフォーム「MediOS」を開発・提供。これまでに動画説明、電子同意書、電子問診票といったサービスをリリースしている。
<MediOSに関するお問合わせ>
マーケティング部
marketing〔アットマーク〕contrea.jp(※〔アットマーク〕は@に置き換えてください。)
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