死蔵の設計や特許に関する米国PL判例――使用されなかった代替設計や死蔵特許が招いたPL敗訴判決(141128)

今回は米国の注目PL判例として、「使用されなかった自社の代替設計」や「死蔵特許」が招いたPL訴訟における被告メーカーの敗訴判決例を紹介します。併せて本号では、「製品の設計上の欠陥」にかかわる米国各州の裁判規範であるリステイトメント2ndと3rdに関して、それぞれの「設計上の欠陥」の定義内容を紹介し、企業の皆様の製品設計の参考に供したいと思います。

裁判規範であるリステイトメント2ndと3rdは、「設計上の欠陥」に対する適用法理が、片や「厳格責任(PL法理)」、片や「過失責任」と大きく異なります。しかし、今回紹介する設計欠陥の事案では、その両方のリステイトメントを包含するサウスカロライナ州法で裁かれることとなりました。この独特のコモンロー(判例法)に支配されたサウスカロライナ州の地裁や高裁がどのように「合理的な代替設計(RAD:Reasonable Alternative Design)」の問題について裁くのか注目です。

また、今回は「死蔵特許」が招いたPL訴訟のメーカー敗訴判決も紹介します。日本の大手メーカーも特許戦略として、多くの特許を取得する一方で、製品安全に係わる死蔵特許も保有しているケースが見受けられます。このような死蔵特許がPL訴訟において、原告側のターゲットとなる危険性について、今回は個別判例を通じて紹介します。

本号では判例紹介の一部として中国メーカーへの代表的なPL訴訟例や、中国メーカーへの米国PL判決の執行についてもコメントしています。本資料が貴社のリスクマネジメントにお役に立てば幸いです。

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*地域:米国、アメリカ