グローバル化するPLリスク(060703)

「グローバル化するPL(Product Liability Goes Global)」と題して、PLに関する論文が著名な雑誌に発表されました。当論文は、ビジネスをグローバル展開するメーカーが一般的によく行う、販売先の国や地域ごとに、その国(地域)の安全規格に合致した製品を納めること、結果的に自社の同一製品の安全レベルにバラツキを生じる現象、いわゆる「ダブル・スタンダード」や「トリプル・スタンダード」と呼ばれる現象が招くPLリスクを指摘しています。

本号では、当該論文の日本語版掲載の許可を入手して、このような「ダブル・スタンダード」方式を採用することが、情報のグローバル化、原告側弁護士団のグローバル・ネットワーク化の進展する中で、その製品の輸出先以外の国(例えば米国)において、同じメーカーに対して起こされる同一製品(または同種製品)のPL訴訟のデフェンスをかなり困難にすることを指摘しています。そして、具体的な事例として、欧州要求規格に合致した産業機械を輸出していた米国企業が、欧州向け仕様と、米国内向け仕様とに差を設けていたダブル・スタンダードを原告側から指摘され、不利な高額和解を強いられた事例を紹介しています。