衣服のPL訴訟 注目判例紹介――フードの引き紐に欠陥が認定されたダウンジャケット訴訟(180627)

衣服の製品事故の件数は比較的少なく、現状から評価すると、必ずしも製品事故及びPLに関するリスクが高い製品群とは言えません。しかしながら平成28年12月、ダウンジャケットを着用していた東京都の男性が、フード部分の締まりを調整する引き紐で眼を負傷したことで提起したPL訴訟で、アパレル企業に賠償を命じる判決が下されました。

欧州では子供用の上着や水着に紐を取り付けることが禁止(窒息危険)され、また日本国内の業界団体の策定したガイドラインでも同様の推奨設計が提案されています。本件事故の被害者(原告)は成人男性ですが、このガイドラインや論文、再現実験の結果などを証拠として提出し、フードの紐のリスクはメーカーとして予見可能であったと主張して「欠陥あり」の判決を勝ち取りました。

また、フードの引き紐が片側に偏ったまま(片方が著しく長い状態のまま)着用したことに対して原告の過失が認定されており、この点において裁判所はいくらかメーカー寄りとも思えるような判決を下しています。

メーカーとしての予見可能性やその義務、双方の主張した争点など、他製品の業界にも参考となる部分があるため、今回はこの事案についてご紹介します。
本資料が貴社のPL対策やリスクマネジメントに、少しでもお役に立ちましたら幸いです。

*キーワード:製造物責任、PL、衣服、衣類、ジャケット、上着、紐、ひも、ゴム、外傷性白内障
*地域:国内