幼児用玩具の国内PL判例(091228)

今回は、「ガチャポン」と呼ばれる「玩具入りのカプセル」を誤飲した2歳10ヶ月(当時)の男児が、窒息により重度の脳障害を負ったことを受け、男児と両親が玩具メーカーに対し、約1億8000万円の損害賠償金の支払いを求めて提訴した事案の紹介です。 

本資料は、鹿児島地裁の原告勝訴判決と福岡高裁における和解を紹介していますが、そこがポイントではありません。本事案では、従来の民法上の過失責任の下では、到底、被告メーカーに責任を課されるはずの無い「安全基準合致品」に対して、PL法に基き、賠償責任を課しています。

これは、多くの日本メーカーが漠然として抱いてきた「安全基準合致品」は「欠陥品に該当せず、過失も無い」という常識が崩れ、「法規や安全業界基準に合致していても、それだけでは不十分であり、メーカーは、製品の持つ危険性をリスクアセスメントして、適切な危険回避の手段を講じないと、欠陥品の裁定から免れない」ことを意味しています。PL法が施行されて14年半が過ぎて、やっと「製品の安全設計」に本格的に立ち入った判例の登場となりました。本資料が会員企業の皆様のリスクマネジメントにお役に立てば幸いです。