EU各国のPL法制度一覧表(後編)(101012)

EUは、約10年近い論議の末、1985年にPL法理を導入しました。日本より10年早い導入でしたが、アメリカに遅れること22年後の導入でした。ECのPL指令として採択され、EU加盟各国は、このPL指令に沿って各国の国内法を整備することを要求されました。加盟各国は、PL法制定、民法改正、消費者保護法の改正などの方法で、EC指令を取り込みました。
その後、当初のPL指令では、第一次加工を受けていない天然物についてはPLの対象外でしたが、イギリスで発生した狂牛病の関連し、1999年に第一次生産物である農産品、畜産品、海産品もPLの対象物となりました。

EU加盟国27カ国の中から、主要構成国および日本メーカーが労働力や市場として注目しそうな10カ国(ドイツ、フランス、イタリア、イギリス、スペイン、ベルギー、オランダ、オーストリア、ルーマニア、ポーランド)を選び、ECのPL指令と以下(1)~(10)までの10項目について各国のPL法や改正民法の個別の条文を調べ、比較できるよう一覧表にまとめました。これらを前・後編に分けてご紹介致します。前編では、ドイツ、フランス、イタリア、イギリス及びスペインについて、後編では、ベルギー、オランダ、オーストリア、ルーマニア及びポーランドについてご紹介致します。

本号が、貴社の欧州ビジネスのリスク・マネジメントにお役に立てば幸いです。

(1)法令名(各国PL法令の正式名)
(2)法理(PL適用法理)
(3)法令対象製品
(4)PL責任を負う者(連帯責任、求償、責任制限・排除条項を含む)
(5)欠陥の定義(より安全な製品の出現と欠陥認定を含む)
(6)補償対象とする損害(身体・財物への損害、無形損害を含む)
(7)賠償額に関する規定(賠償責任限度額の設定、懲罰的賠償金、過失相殺などを含む)
(8)PL責任の成立要件(原告側の立証責任)
(9)被告側の抗弁 
(10)時効(出訴期限、法定責任期間)